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学生の理解度をどう深めるか [大学教育について]

友人のFacebookで知った、この論文。大学教育の現場の問題を的確に指摘しています。

筒井美紀「ノートをとる学生は授業を理解しているのか? ―〈大事なところは色を変えて板書してほしい=83%〉を前にして―」『京都女子大学現代社会研究』第9号。

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出典:http://techforeducatorsashley.wikispaces.com/Summarizing+and+Note+Taking

「大事なところの」の見極めを論理内在的に行っていない(7p.)結果、教員に大事なところをはっきり言って欲しい、色を変えて板書をして欲しいと学生は願う。しかし、(受験のような)暗記型の勉強でない以上、多くの大学の講義では全体の論理を理解する必要があるため、ついていけない場合が出てくる。またアンケート調査の分析の結果、読書時間の長い学生は、講義を受けながら疑問点や重要点をまとめる前進的理解を行っている傾向が強い。(以上は私が得た内容で、要約ではありません。)


つなぎ合わせた結論としては、学生には自分のペースでの「読書」を普段から奨励しつつ、講義を受けるときも(あたかも読書をするように)相手の主張を捕まえ、疑問やポイントを「自らの言葉で」まとめるようにノートを取るよう指導する、ということでしょうか。凡庸にみえる結論ですが、多くの真実が詰まっていると経験的に感じます。

読む力をどう育むか。教科書読んで来い、そんなの学生の責任だ、とお叱りを受けそうですが、現場としてはやはり何か工夫がいる気もしています。新聞記事などを時間を与えて読ませて議論という形はすでにやっていますが、(まともなもの限定の)新書マラソンや、以前紹介したビブリオバトルのようなことも考えた方がいいのかも知れません。

読む力と同時に、おそらく書く力(論理構成などを知る)もトレーニングする必要があり、このあたりを特に1年次にしっかりやる必要があるのでしょうね。本務校では書く力について、本年度から少人数の入門演習が全員履修として設けられました。読み書きは両輪の関係にありますので、読む力をしっかりとつけさせたいものです。

講義そのものの改善法は、まだ色々と勉強をして、思案しています。この論文からは、教科書を事前に読ませる(普通読んでこないのでそれには一工夫必要)、講義聴講時に疑問点、重要点に考えをめぐらせるクセをつけるためコメントシートや質問時間などを活用する、この基本的な2点を確認したところです。

ゼミでは、これまでも発表レジメをきる読み方ではなく、もう一歩能動的にしたグループディスカッションや用意した質問に答える形(文章提出を含む)で1学期4冊程度の輪読を進めてきました。全体の論理構造をつかませる訓練のために、帰国後はもう一工夫してみたいところです。

筒井先生にはこのテーマでの一般向け著作もあるようですので、改めて勉強させて頂ければと思います。(なお、ご専門は労働社会学のようです。)

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なお、関連するのですが、まだ自分の中で答えが出ていないことは通常の講義・ゼミなどで提出物への添削は必要か否か。教員の過大負担という点をのぞいても、添削指導は特定の答え、文体、思考の方向性を示しすぎてしまう場合もあるため、私はあまり積極的ではありません(本当に必要だと思ったときにのみ行います)。提出させるまでのプロセスで能動的学習をさせていますし、コメントは口頭で行う方針です。

しかし、学生は添削がお好きなようで、100名以上の大講義でも、毎週コメントシートにすら添削して返却すべきだと主張する学生もいます。これも受け身の学習姿勢の問題と考えるべきか。またこのブログでも考えたいと思います。