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トランプ外交と同盟国の憂鬱 [雑感]

12月はトランプに直接、間接にまつわる講演にかなりの時間を取られてしまいました。

ツイッターやFoxニュースをみなければいけない日々が4年間も続くのかと思うと気が滅入りますが、それは同盟国政府も同じこと。

ということで、表題のコラムをシンガポールの聯合早報より出版して頂きました。中国語です。
http://www.zaobao.com.sg/forum/views/opinion/story20161227-706544

日本語原文は以下の通りです。

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トランプ外交と同盟国の憂鬱

 ドナルド・トランプ氏のアメリカ大統領当選は誰にも驚きだった。だが結果から見れば、EU離脱を国民投票で決めた英国、さらに韓国、欧州各国など先進的な経済発展がされていたはずの国で、既存政治の分配枠組みへの不信感が募り、それが政治不信へと至ったのが2016年であった。
 トランプ氏は外交政策で選ばれたとは決して言えない。しかし当選を決めた後、オバマ政権の遺産だったキューバとの関係改善、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)をいともあっさりと否定したかと思えば、蔡英文氏が祝意を伝える電話をこれもあっさりと取った。「すべて前政権以外(Anything but)の政策をとる」という傾向は政権交代につきものだが、トランプ氏は「すべてこれまでの政権と異なる(Anything but all past administrations)」ことを目指しているかのようである。
 国防長官人事などに垣間見られるように、イスラム国への強い対抗策はでてくるだろう。イランも白紙からすべてをやり直すのかも知れない。
 TPPはオバマ政権のアジア再重点化(rebalancing)政策の要だったが、トランプ氏が政治、軍事面におけるアジア政策にも革新をもたらすことが危惧されている。たとえば日本や韓国には米軍駐留経費のさらなる負担だけでなく、防衛予算増額やアジアを越えた地域への積極的関与も求められるのかも知れない。TPPが死文化しただけでなく、アジア再重点化(rebalancing)も終わった政策となるのだろうか。
 あるワシントンからの友人が先週私に語ったことは正論だと思う。「トランプ外交がどのようなものになるのか、それは本人を含め誰にも分からない。しかし、アメリカが関与を弱めるかも知れないという認識を地域に広げたことで、アジア諸国はその可能性を織り込んで動くことになる。その意味で、我々はすでにトランプ効果のなかで考えていかなければならないのだ。」
 アメリカの同盟国に安心できる材料はあるのだろうか。国際感覚豊かな国務長官の任命は、自由貿易のメリットも十分に理解するだろうことを考えると悪い話ではない。国務副長官、国防副長官にも良い人選が進んでいるという噂もある。北朝鮮への戦略的忍耐が放棄されるのは結構なことだと思う。任期四年間のうちに進展する核ミサイル開発に過剰に反応しないで、適切な圧力行使が行われることが前提だが。
 トランプ外交の先が見通せないこと、不確実性は最大の不安とは言えない。どのような政権も多少の差はあれ、政策の方向性は変わるし、それはオバマ外交も例外ではなかった。同盟国は、すべてが「アメリカ第一」の原則の下で二カ国での再交渉になること、さらには他国との取引材料になることを最も恐れている。
 同盟国の希望は、中国の封じ込めでは全くない。中国の政治、軍事的な振る舞いに危険なところはあっても、ともに豊かになる未来を誰しもが望んでいる。同盟国が望んでいるのは、アメリカが政策を立案するに際して、同盟国というプリズムを通して「も」地域を認識し、行動することだ。新しい大統領は、これまでのビジネス経験から、どうも世界を一対一の関係から捉える傾向があるが、すべてはつながっているのだ。アメリカと同盟国は原則あるグローバル化の促進を最大の目標として共有してきた。同盟国は自らとの交渉と、ロシアや中国との交渉をアメリカが別々のトラックでして欲しくないと願っている。
 新しい国際関係のパターンの出現は、すでに日本にとって計算違いを引き起こし始めている。プーチン大統領はあきらかに孤立を招いた西側包囲網がこれで崩れると確信しただろう。中国との関係は、今は状況を不安定にさせる事態が相次いでいる。政権発足後、当初は緊張するだろう。だが、もし米中が一転して深い対話に進むことは十分にあり、アジア中の友人は自らが次の取引材料になってしまうことを恐れている。アメリカの関与を信じられなくなったアメリカの友人は、ユーラシア大陸の東西どちらでも様々な対応策、さらに奇策を打つだろう。
 だからこそ、アメリカ以外の国の連帯こそこれからの4年間の鍵になると筆者は考えている。アメリカ、西欧、日本のG7諸国(先進国首脳会議参加国)はこれまで、国際秩序において価値観の共有を訴え、東南アジア、オーストラリア、インドの友人ともその目標を共有してきた。しかし当面、国内事情優先、二カ国外交を好むアメリカと価値観の共有という崇高な目標を第一に訴えることは難しそうである。まず、世界に係わり続ける国際主義の必要性、多数の国と協力し合う多国間主義の素晴らしさをアメリカ以外の国が連帯してトランプ氏に丹念に説いていくしかないだろう。その意味で、我々は後退した世界のなかに生きることを強要されているのだが、やがて再び「グローバル第一」のスローガンをアメリカとともに掲げることを夢見たいものである。

Cartoon20161226.jpg

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オーストラリアン紙(豪州最有力紙)に2週前にかなり引用されていたことを今更気づきました。

http://www.theaustralian.com.au/news/world/trump-and-china-force-japan-to-embrace-new-partners/news-story/8037ced9f7771e5a5b532ec2e46f8553

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