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2016年の研究を振り返って [雑感]

2016年は、15年末に単著を無事に出したこともあり、中長期的視野に立って「次の仕込み」をする時期になりました。

8月末に体調を崩したこともあり、海外出張を絞り込み、10回/55日と例年の半分、この10年でもっとも日本にいました。その代わりに日本で集中して研究、教育が出来ました。日本で行われる会議や意見交換をもっと丁寧に参加するようにもなり、研究面での支障もあまり感じなかったので、これでいいような気がしてきました。

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【研究プロジェクト】
主査を務めるプロジェクトを国内、国際それぞれ1つ立ち上げつつあり、今後3-4年で成果をだしていく予定です。来年度にキューバ(3月に学術交流で訪問)との大規模な交流をするための補助金も獲得しました。さらにスタンフォード大学の日米同盟プロジェクトを5月に立ち上げ、カール・アイケンベリー教授と今後も続けていく予定です。

【論文】
「対外政策:アジア外交の安全保障化」が来年早々に出版されます。これは日本外交・安全保障政策について10年前に冷戦終結から小泉政権まで書いたものの続編として、第1次安倍政権から民主党、そして2・3次安倍政権と一貫して日本の安全保障政策がアジア外交との接点を求めてきた過程と、その背景にある対中政策について論じています。(本も御厨編『変貌する日本政治』の後継企画として、サントリー文化財団の助成をいただいた竹中班の企画です。)

またグリフィス大学(豪州)の企画でUS Primacy in the Asia-Pacificという編書への寄稿論文をドラフト。来年に入稿、Edward Elger(英国)より出版の流れです。短いものは本年春にオーストラリア国立大で発表、出版して、本人の予想を超えて好評でした。最近もオーストラリアン紙(現地最有力紙)に何カ所か引用されていました。

日本国際政治学会で発表した「アメリカは中国の権力をどのように捉えているのか」という論文は、下敷きは日本国際問題研究所「米中関係班」の研究です。(同研究所のコラム「アメリカにおける戦略議論と中国」参照。)この論文ではオバマ政権で中国政策が変容していること、対中認識は最後のところで踏みとどまっていることを示しているのですが、フレームワークが欲しいと思っていたところにトランプの登場で、そもそもこれを今まとめる必要があるのか、この2ヶ月悩みが深まっています。。

【講義】
本務校でのゼミでは3年生にアクティブ・ラーニングを徹底、かなり成功したと思います。反省点も勿論あり、来年の3年生ではさらに工夫をしてみたいと思います。講義の内容を本格的に見直したいのですが、それは来年度の課題にしたいと思います。

一橋大学で学部向け「国際安全保障」を新たに担当、100名強の学生のノリがよかったのが印象的でした。上智大学では英語学科で「アメリカとアジア太平洋」を英語講義する2年目。各学期1つずつの非常勤からも様々な刺激をもらっています。総じて、学部講義ではこれまで基礎を重視してきたところ、中級レベルにももっと取り組もうと感じるようになりました。

【社会貢献】
今年は官公庁、研究機関、民間企業、市民講座、異なる地方の大学、湘南の高校と、様々なところでお話しさせて頂く機会を頂きました。「激動期の国際政治」はいつも使われる便利なフレーズですが、今年ほどこの言葉が相応しい年もなかったと思います。世界を分析する道具を少しでも伝えることができていれば、と願っています。

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来年は、米中関係について1972-78年に形成された和解が「破綻」していく過程を勉強したいと思いますし、東アジア秩序論についても骨太な議論ができるように勉強を続けたいと思っています。まずは1月、誰にも頼まれていない書評原稿のためにVictor Cha(2016)を読み込む予定です。

教育も新しいことを色々と試していきたいと思います。まずは申請が通った電子黒板の使い方に慣れないと[ダッシュ(走り出すさま)]

研究、教育に誠心誠意取り組み続ける1年にしたいと思います。

日本台湾交流協会への名称変更 [雑感]

年末に大変嬉しいニュース。

「日本の対台湾窓口機関、名称に「台湾」を追加 外交部が歓迎の意表明」

トランプ氏によって1970年代に出来上がった中国、台湾との外交関係のあり方に一石が投じられていますが、それとは全く関係なく、

過去5年以上にわたる、日台関係の発展はめざましいものがあり、それは社会経済関係の深耕だけでなく、市民レベルでの意識変化も伴っていると思っています。

持論として論文にも記載しましたが、台湾を台湾として、両岸関係や中国との文脈から切り離して理解する日本人が明らかに増えました。政官だけでなく、一般的にも。

中国への牽制とか、そういう浅はかなことではなく、素直に台湾を台湾とみる、そんな感覚が共有されてきていることを率直に喜んでいます。そして、関係者の努力に敬意を表します。

今年は、学生会議で教えた台湾の学生が外交官試験に受かったことも大きな喜びでした。(学生会議で関わった(元)学生との交流は様々に続いていて、今月には内閣府PKO本部から国連に羽ばたかれる方に大学に講演に来てもらいました。

日台関係にとって2017年がさらによい1年になることを願っています。

トランプ外交と同盟国の憂鬱 [雑感]

12月はトランプに直接、間接にまつわる講演にかなりの時間を取られてしまいました。

ツイッターやFoxニュースをみなければいけない日々が4年間も続くのかと思うと気が滅入りますが、それは同盟国政府も同じこと。

ということで、表題のコラムをシンガポールの聯合早報より出版して頂きました。中国語です。
http://www.zaobao.com.sg/forum/views/opinion/story20161227-706544

日本語原文は以下の通りです。

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トランプ外交と同盟国の憂鬱

 ドナルド・トランプ氏のアメリカ大統領当選は誰にも驚きだった。だが結果から見れば、EU離脱を国民投票で決めた英国、さらに韓国、欧州各国など先進的な経済発展がされていたはずの国で、既存政治の分配枠組みへの不信感が募り、それが政治不信へと至ったのが2016年であった。
 トランプ氏は外交政策で選ばれたとは決して言えない。しかし当選を決めた後、オバマ政権の遺産だったキューバとの関係改善、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)をいともあっさりと否定したかと思えば、蔡英文氏が祝意を伝える電話をこれもあっさりと取った。「すべて前政権以外(Anything but)の政策をとる」という傾向は政権交代につきものだが、トランプ氏は「すべてこれまでの政権と異なる(Anything but all past administrations)」ことを目指しているかのようである。
 国防長官人事などに垣間見られるように、イスラム国への強い対抗策はでてくるだろう。イランも白紙からすべてをやり直すのかも知れない。
 TPPはオバマ政権のアジア再重点化(rebalancing)政策の要だったが、トランプ氏が政治、軍事面におけるアジア政策にも革新をもたらすことが危惧されている。たとえば日本や韓国には米軍駐留経費のさらなる負担だけでなく、防衛予算増額やアジアを越えた地域への積極的関与も求められるのかも知れない。TPPが死文化しただけでなく、アジア再重点化(rebalancing)も終わった政策となるのだろうか。
 あるワシントンからの友人が先週私に語ったことは正論だと思う。「トランプ外交がどのようなものになるのか、それは本人を含め誰にも分からない。しかし、アメリカが関与を弱めるかも知れないという認識を地域に広げたことで、アジア諸国はその可能性を織り込んで動くことになる。その意味で、我々はすでにトランプ効果のなかで考えていかなければならないのだ。」
 アメリカの同盟国に安心できる材料はあるのだろうか。国際感覚豊かな国務長官の任命は、自由貿易のメリットも十分に理解するだろうことを考えると悪い話ではない。国務副長官、国防副長官にも良い人選が進んでいるという噂もある。北朝鮮への戦略的忍耐が放棄されるのは結構なことだと思う。任期四年間のうちに進展する核ミサイル開発に過剰に反応しないで、適切な圧力行使が行われることが前提だが。
 トランプ外交の先が見通せないこと、不確実性は最大の不安とは言えない。どのような政権も多少の差はあれ、政策の方向性は変わるし、それはオバマ外交も例外ではなかった。同盟国は、すべてが「アメリカ第一」の原則の下で二カ国での再交渉になること、さらには他国との取引材料になることを最も恐れている。
 同盟国の希望は、中国の封じ込めでは全くない。中国の政治、軍事的な振る舞いに危険なところはあっても、ともに豊かになる未来を誰しもが望んでいる。同盟国が望んでいるのは、アメリカが政策を立案するに際して、同盟国というプリズムを通して「も」地域を認識し、行動することだ。新しい大統領は、これまでのビジネス経験から、どうも世界を一対一の関係から捉える傾向があるが、すべてはつながっているのだ。アメリカと同盟国は原則あるグローバル化の促進を最大の目標として共有してきた。同盟国は自らとの交渉と、ロシアや中国との交渉をアメリカが別々のトラックでして欲しくないと願っている。
 新しい国際関係のパターンの出現は、すでに日本にとって計算違いを引き起こし始めている。プーチン大統領はあきらかに孤立を招いた西側包囲網がこれで崩れると確信しただろう。中国との関係は、今は状況を不安定にさせる事態が相次いでいる。政権発足後、当初は緊張するだろう。だが、もし米中が一転して深い対話に進むことは十分にあり、アジア中の友人は自らが次の取引材料になってしまうことを恐れている。アメリカの関与を信じられなくなったアメリカの友人は、ユーラシア大陸の東西どちらでも様々な対応策、さらに奇策を打つだろう。
 だからこそ、アメリカ以外の国の連帯こそこれからの4年間の鍵になると筆者は考えている。アメリカ、西欧、日本のG7諸国(先進国首脳会議参加国)はこれまで、国際秩序において価値観の共有を訴え、東南アジア、オーストラリア、インドの友人ともその目標を共有してきた。しかし当面、国内事情優先、二カ国外交を好むアメリカと価値観の共有という崇高な目標を第一に訴えることは難しそうである。まず、世界に係わり続ける国際主義の必要性、多数の国と協力し合う多国間主義の素晴らしさをアメリカ以外の国が連帯してトランプ氏に丹念に説いていくしかないだろう。その意味で、我々は後退した世界のなかに生きることを強要されているのだが、やがて再び「グローバル第一」のスローガンをアメリカとともに掲げることを夢見たいものである。

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オーストラリアン紙(豪州最有力紙)に2週前にかなり引用されていたことを今更気づきました。

http://www.theaustralian.com.au/news/world/trump-and-china-force-japan-to-embrace-new-partners/news-story/8037ced9f7771e5a5b532ec2e46f8553

久しぶりのブリュッセル出張 [遠征日記]

古巣ジャーマン・マーシャル・ファンドの日米欧会議でブリュッセル郊外の古城へ出張してきました。

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いつものアメリカ、豪州やASEAN関係者と違って、アジアの話の前提が共有されてないことに十分配慮してなかったと自分へ深く反省。北朝鮮パネルでしたが、たとえば5月にクアラルンプールで北朝鮮や中国関係者と話したのとあまりに勝手が違いました。ただ核ミサイル開発の進展とともに、北朝鮮がトップアシェンダに返り咲きかねない、との問題意識だけでも伝えられればと。

ベルリン自由大のMay Stumbaum博士やDan Twiningさん始めファンドのメンバーなど極めて親しい方々や、米ミャンマー大使から帰国したばかりのDerek Mitchellさん、同じパネルで、両方のブッシュ政権にいたLorne Cranerさん、そして笑顔と同時にいつも厳しく指導してくださる石井大使、皆さんと結構たっぷりお話しできて、大満足の旅でした。

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