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2017年02月| 2017年03月 |- ブログトップ

一つの中国政策(再び) [雑感]

ティラーソン国務長官が訪中した際、「相互尊重」「Win-Win」など中国政府がかねて主張してきた言葉を米中関係を表現する言葉として使用したことが話題になっています。

直後から、アメリカの中国専門家(元政府高官を含む)はツイッターで大騒ぎで、ワシントンポストなどメディアも批判に合流している感があります。

とくに「相互尊重」には中国政府の言う核心的利益、チベットや香港、台湾でアメリカ政府が従来の政策を見直し、中国政府に擦り寄ったのではないか(北朝鮮問題や貿易金融など表に出てこない話と取引で?)、との疑心暗鬼を生みました。事実、中国の官製メディアは今回の米中会談を中国の外交的勝利と報道しています。

ここまでは薄く日本でも報道されているのでよいのですが、今週月曜日の国務省定例記者会見でトナー報道官(代行)は面白いことを言っています。

アメリカ政府の台湾に関する立場はますます強固な両岸関係を奨励するものであり、アメリカ政府は(従来の)「一つの中国」政策を維持する(stand by)


また新しい言葉が出てきたのです。スタンバイ。汗

トランプ・習近平電話協議後の発表がhonor 尊重するだったことを解説したときに、honorは法律的に強い言葉だと踏み込んで理解する方もいました。しかし、honorの読み込みすぎはよろしくないと方々で言ってきたのですが(そもそもone china policyの中身が中国人の立場を認識したに過ぎないということも含め)、今回のこの報道官の表現で、stand byと言い換えれる程度だということがわかります。

訳し方は難しいのは認めますが、いずれにせよ、維持/支持するというもので、完全に保証するようなものとは訳せません。

このあたりのニュアンスを是非、皆さまくみ取って欲しいと思います。


北朝鮮とアメリカ [雑感]

明日のNHK・日曜討論に出席します。

おそらく、このブログに初めて来られる視聴者の方もいると思います。
このブログは、私の個人的な雑感や出張記録を目的にしており、専門的知見を提供するためのものではありません。その点をご了承ください。

また私の専門分野はアメリカと東アジアの関係を中心とした、東アジアの国際政治です。9年前に提出した博士論文はアメリカが中国、台湾(中華民国)に1948~1978までどのような政策をとったのか、それを説明するものでした。(『共存の模索』勁草書房、2015年)その後、米中関係を軸にしつつ、東南アジアを含む東アジアの安全保障について、広く研究を重ね、論文を書いてきました。オフィシャル・ウェブサイトなどで論文やエッセイはご確認ください。また英語での執筆、報告が全体の努力の半分ほどを占めています。

北朝鮮に関しては、これまでも幾つかの研究プロジェクトでかかわってきていますが、現在は全米アジア研究所(NBR)の日米韓三カ国協力プロジェクトの共同ディレクター(第2・3フェーズ)を務めています。

今週も、ソウル、東京でワークショップを開催、おおよそ50名くらいの政府・軍関係者、専門家と意見交換をしてきたところです。

私の専門性はあくまでもアメリカの視点を深く理解していることだと思いますので、日曜討論でもそれを中心に、専門的に研究してきた内容で答えられる範囲で答えます。評論家ではないので、その点は明確に自覚しており、注がつけられない発言・分析はしておりません。

またトランプ政権については2月27日月曜日、日経の経済教室に3千字の論考を掲載しておりますので、ご笑覧頂ければと思います。米中関係についても、以前のブログで、公研2月号のながい対談をPDFにてご提供しています。

アメリカの北朝鮮政策にご関心を持たれた方は、ドン・オーバードーファの『二つのコリア』の最新版をお勧めします。またエバンズ・リビア元国務次官補(代行)のこの論考は、12月のものですが現在の動きを理解するために必要な補助線を引いてくれています。強硬路線の具体像、背景にある現状認識や政策目標がつかめると思います(もちろん政権と同じ、ということを言っているのではありません。ただ、補助線として、とてもよいです。)

https://www.ncafp.org/2016/wp-content/uploads/2016/12/Revere_North-Korean-Nuclear-Challenge.pdf

逆に、トランプ政権の考えとは全然違うと思いますが、ハース外交問題評議会理事長もこの金曜日に米朝対話を重視した、このような論考を書いています。

https://www.project-syndicate.org/commentary/north-korea-strategic-options-by-richard-n--haass-2017-03

いずれにせよ、北のミサイル、核開発へのアメリカの警戒心はかなり高まっています。中国を動かすためもありますが、先制・予防攻撃や2次制裁(北朝鮮と取引のある中国企業への制裁)を匂わすのも意外ではありません。

検証可能な非核化を前提にしなければ、アメリカは北との関係を前進させないでしょう。リビア氏も、核ミサイル開発の継続が体制の安定性を高めるのではなく、むしろ低めると確信させる、そこに目標を見いだしています。

ただし、北がそれに乗ってくるとはなかなか思えず、中国も問題の解決を妨げ続けるでしょうから、当面日本としては、守りを固め(ミサイル防衛)、そのためにも日米韓の連携を強めるのが、これまで以上の深さと速さで重要になってくる、そう思っています。

ルポを読む [雑感]

 東大や早稲田を目指す若い留学生の声から伝わる、90年代生まれの中国人の世界観。
 ニューヨークから車を走らせ、ラストベルトからアパラチア山脈の寂れた街を歩き回って出会った、トランプ支持者の世界観。
 対照的なものを映しているようで、しかしこれが今日という同じ日にあると考えると、不思議で、面白くてしょうがない。それぞれの国で主流だとは思えないけれど、だからこそイメージを破壊してくれる。

 ふと、畏友宮地ゆうの「シリコンバレーで起きている本当のこと」を読んだときを思い出した。筆力のある書き手は、社会の気づかない側面や、言葉に出来なかった考えを見事に表現してくれる。
 優れたルポほど、読み終えたときに感謝の念がこみ上げてくる。そして興奮する。

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