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4月危機を越えて朝鮮半島はどこに向かうのか [雑感]

表題の文章を翻訳したものを、『聯合早報』(シンガポール主要紙)に、また同趣旨のインタビューを『朝日新聞』のオピニオン欄「耕論」に恐れ多くも平岩先生と並ぶ形で掲載頂きました。末尾に、聯合早報の原文を掲載します。

4月25日の後、国務長官・国防長官等連名での声明やトランプ氏、国務長官、太平洋軍司令などの発言が相次いでいますが、メッセージはばらついており、安定していません(危機管理とみれば最悪です)。

一連の流れは国内アピールの側面も強く、国際安全保障が「私物化」されています。

三文芝居のようなブラフで問題が解決できるほど北朝鮮問題は簡単ではなく、オバマ大統領との引き継ぎの際に北朝鮮問題の難しさを説かれたはずのトランプ氏は、「やつが出来なかったのを俺は上手くやれる」とでも言いたいのでしょう。

核ミサイルがアメリカに「深刻な脅威」になるのがトランプ政権第1期の最中、とケリー国土保安長官は言明しました。これを日曜朝のテレビでいうというのは、ひとつの転換点ではあります。近隣諸国からみれば、最悪のキャストで、今後「長い危機」が続くことになると思います。


(聯合早報、原文)
 朝鮮半島の悪夢にうなされた4月が終わろうとしている。2月の日米首脳会談の最中にもミサイルを発射した北朝鮮は、米韓軍事演習が始まった3月には脅えを強い恫喝に移すように、ミサイル4発を日本海に同時に着弾させる。さらなる核ミサイル実験への動きも進めてきた。しかしそれ以上に目新しかったのは、トランプ政権が現状を打開しようと急速に動いたことだった。
 政権交代時に政策の根本的なレビューが行われることは、アメリカ外交ではよくあることだ。しかしトランプ政権は、オバマ政権の「戦略的忍耐」を否定して見せただけでなく、北朝鮮とのあまりに長い危機との決別を図ろうと強い意志を見せた。アメリカ政府が北朝鮮の非核化を目的に据えて積極的に行動することは歓迎すべきことだが、トランプ政権は北東アジアで続いてきたパターンを打ち破ろうとし、それが状況に流動性を生み出した。
 3月にメッセンジャーとして、ティラーソン国務長官は北東アジアを歴訪した。彼は「すべてのオプションがテーブルの上にある」として、安易に取引に応じず、完全で検証可能な非核化を目指して、まずは高圧姿勢をみせる。中国には2次制裁もちらつかせながら、対北朝鮮制裁をまったく異なるものにするように要請し、他方でこの時期中国が提案した、北朝鮮の核ミサイル開発停止とひき替えに米韓軍事演習を「凍結」する選択肢を拒絶した。過去20年間の政策を失敗と位置づけることで、安易に北朝鮮と対話に応じたり、経済支援を行ったりしないことも印象づけた。
 4月、トランプ氏とのいち早い会談で不安を払拭したいとフロリダに飛んだ習近平総書記は、アメリカのシリア政権へのミサイル攻撃というサプライズに驚かされる。化学兵器使用への人道的な目的がまず重要だったにせよ、トランプ政権はそれを北朝鮮と中国にみせつける材料につかった。祝賀行事に北朝鮮が国を挙げて取り組む4月を警戒し、アメリカは中国に圧力を行使するよう、最大限に脅しをかけ、また働きかけた。
 今月23日にケリー国家安全保障長官が述べたように、トランプ政権の4年間のあいだに核ミサイルが実用化に入る可能性は高まっていると米政府は見積もりを修正したようだが、いまだ数年あるともいえる。しかし、あたかも今月が山場であるようにトランプ政権は動き続けたのだった。そしてメディア報道もあって、危機が作られた。
 結果から見れば、金日成主席生誕105年や軍創建85年という祝賀にあわせて北朝鮮が大きく挑発行為を行った、とは言えない。6回目の核実験もなければ、はりぼてはパレードにお目見えしたにせよ、大陸間弾道弾が打ち上げられることはなかった。
 しかし、これがアメリカの脅しによる一定の効果だったとしても、アメリカは今後も軍事演習など圧力をかけ続けるだろう。本来の目的が非核化にあるからだ。
 米韓に加え、日米もこれまでにないレベルで演習を展開している。さらに北朝鮮へのサイバー攻撃も進展しているといわれるし、韓国への核兵器の再配備や北朝鮮のテロ支援国家への再指定など、オプションはホワイトハウス西棟の大統領執務室に積み上がっていると思われる。アジア太平洋政策は当面、海洋安全保障ではなく北朝鮮を中心的話題にするだろう。
 アメリカの北朝鮮政策は、米中関係を巻き込む形で明らかに次元をあげることになった。拳を振り上げたアメリカは、たしかな成果を得るまでは最早引き返せない。どこまでの成果を当面得たいのか、非核化へのロードマップを対話とどう組み合わせていくのか、トランプ政権は分かっていないようにも思えるのだが。
 トランプ氏は、褒め殺しと思われるほど、北朝鮮政策で中国の対応を最近ほめている。しかしこれは、北朝鮮を動かせなければ待ち受けている厳しい経済的な中国への締め付けを思い起こさせる、脅しだろう。トランプ政権の中枢で現実的な外交路線が力を増しているにせよ、圧力をかけることで中南海を動かそうというアプローチは変わらない。北朝鮮に行使できるカードが実のところ少ない中国にとって、この状態ほど心地悪いものはないだろう。米中首脳会談は100日プランを合意した。その締め切りの7月までに北朝鮮問題で前進をみせることは中国政府にとって経済金融での圧力回避のため必須だが、達成が極めて難しい宿題だ。救いがあるとすれば、もしこの難問を片付けることが出来れば当面米中関係は安泰と言うことだが、それは蜃気楼にみえるオアシスのようなものだ。
 日本と韓国は、もし有事が起きれば戦域として一体であり、米朝の激しい動きのなかで巻き込まれる恐怖を高めていた。日本にとっての救いは、安倍とトランプの関係の良さにも助けられて、米中首脳会談の前にも後にも、そして25日直前にも常にトランプから電話がかかってくることだ。おそらく安倍はトランプ氏に鍵となる中国を見捨てないように諫言を忘れなかったのではないか。日本では北朝鮮を攻撃する能力も持つべきだと勇ましい意見も増えてきたが、それは達成できるまでの時間がかかりすぎ、今の問題への対処とならない。当面はミサイル防衛システムの更なる配備が優先されるだろう。
 それにしても、どのように今後の危機は回避できるのだろうか。中国の制裁強化が強まれば、そして困窮した北朝鮮が自暴自棄になるのではなく生存を合理的に求めるようになれば、対話のテーブルに厳しい条件で戻ることに合意するかも知れない。非核化を前提にすれば、体制保証の上で平和条約に向けた動きや経済開発が視野に入ってくることを関係諸国は示すべきだろう。
 少なくとも、アメリカの姿勢を考えれば、北朝鮮が最初に折れない限り、状況の打開は難しいのかも知れない。アメリカは国連安保理も活用し始めるだろうし、中国への圧力期待は膨らんでいく。
 しかし、北朝鮮が核ミサイル開発の継続を諦められないとすれば、トランプ政権の「力による平和」はさらに次元をあげていく。脅しのためにさらに振り上げられた拳に、北朝鮮の若き指導者はさらなるチキンレースを挑むかも知れない。それは誰の利益にもならない。

日経・書評 [雑感]

論文「対外政策:アジア外交の安全保障化」を収めて頂いた、竹中治堅編『二つの政権交代』(勁草書房、2017年)について、京都大学の待鳥聡史先生による書評が日本経済新聞に掲載されました。[わーい(嬉しい顔)]

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(拙稿を除き)とても素晴らしい論文が詰まっています。そして何よりも、すべての論文が一つのテーマ、すなわち自民、民主の政権交代でも多くの分野で政策は実は共通している、という仮説をめぐる形で統一されています。政治学者の仕事として、議論を重ねました。

サントリー文化財団様より暖かい助成を頂いて完成したものです。勁草書房の担当編集者Uさんには、いつも変わらない、素晴らしい編集をして頂きました。

書店や図書館でお手にとって頂ければと思います。


共同研究スタート [雑感]

新しく合同研究をスタートさせることになり、3月末に8名の海外ゲストを招きパイロット会議を横浜、本学で開きました。

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翌日は横須賀を訪れ、護衛艦いかづちを案内していただき、いづもの入港を見守り、午後はキム基地司令の案内で、空母ロナルドレーガンに乗ってきました。

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プロジェクトでは、アメリカを同盟国がどうみているのか、トランプ限定せず、深く学問的に掘り下げる予定です。オーストラリア国立大のイベリンゴー教授をアドバイザーに迎え、私がリードします。三年をかける長いプロジェクトですが、成果をきっちり出せるように精進したいと思います。

こうやってみると、本学会議室は眺めが良い!

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