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今学期のゼミ [雑感]

今学期もようやく終わりが見えてきました。

スタンフォードへの2週間の講義出張や、一橋大学での国際安全保障の講義など、追加的な仕事のための移動が多く、研究活動や社会貢献もあわせると、時間のやり繰りが大変でした。

今学期のゼミナール形式の講義では、
2年生の基礎演習で「北朝鮮入門」と「ゼロデイ」を、
3年生のゼミで「トランプ王国」「ポピュリズムとは何か」「国際秩序」をそれぞれ扱いました。

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北朝鮮入門は、北の核ミサイル開発が進展している現在、基礎的な知識を得るために格好の入門書です。前著LIVE講義北朝鮮入門も学生に好評でしたが、今回はさらに磨きがかかっています。ゼロデイも、サイバー空間と国際政治の接点を考えるために必読と思える、好著。受講生はとても楽しく読んだようです。

最後に時間の余裕があったため、エモット「『西洋』の終わり」の冒頭50頁を読んでもらって終わろうと思います。ほかに、基礎演習では、新聞記事を使ったエクササイズを毎週行いました。

西洋の終わりは、冒頭と、終章だけでも読む価値があります。エモット氏の話は三極委員会などでも聞いてきましたが、切れ味の良さは本書で遺憾なく発揮されています。開放性と平等がキーワードです。

3年生の前期は、新書を何冊か読んでもらい、知識の幅を広げてもらうとともに、議論の仕方を試行錯誤して自分たちで身につけてもらうことに主眼があります。

電子黒板も導入された演習室でしたので、どのように展開するか暖かく見守っていたのですが、問いの立て方や読み込みが甘く、もう少し介入した方が良かったかと、少し反省しています。しかし(知識が誤っている、進め方が悪いなどといって)介入しすぎると成長機会をむしろ奪ってしまうところもあり、難しいところです。

3年生の後期は専門文献の読み込みを2冊程度。何にするか、思案のしどころです。

もし、学生でこのブログをたまたま見た方は、ぜひゼミや基礎演習2の門を叩いてください。いつでも歓迎です。

北朝鮮とトランプ [雑感]

北朝鮮のICBM発射という事態を受けて、トランプ政権はどう動くか。

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中国を見限ったとは言えないですが、G20、米中を前にして明らかに圧は強まっているのでしょう。トランプのツイッターは、この点に関しては少しずつトーンが変わってきていて、たまには役に立つ実例になっています。米国連大使も、可能な限り強硬な姿勢を示しているように見えます。

空母により軍事圧力を再びかける策は、前回がかなり北朝鮮を震え上がらせるに役に立ったと評価されている以上、検討されていても不思議ではありません。

トランプ政権(と中国)は「ICBM」をレッドラインといっていた以上、自らの首を絞める結果になっています。もちろん、「」付きのICBMですが。

気になる点は二つ。まず、中ロ首脳会談・共同声明でのダブルフリーズ、韓国THAADミサイルへの言及。まあ、ロシアには中国の援護射撃と、グローバルにミサイル防衛に反対するという理由以上はないでしょう。

第2に、米韓首脳会談や韓国新政権の動き、米側有識者に見られる、北朝鮮との対話条件の緩やかな後退。ただ、これは日本の一部論調に見られる、北の核容認シナリオではなく、対話の条件(入り口)として核ミサイル実験の停止(または凍結)が考えられるようになったにすぎず、表現に正確さが必要かも知れません。最終的な核放棄の看板を下ろすという発言は、さすがに米韓とも誰も中から言っていないと思います。。。他方、米韓軍事演習の規模を縮減すべき、と話す韓国政権の要人発言は、すぐに大統領が否定したと言え、ダブルフリーズを匂わすものとして嫌な感じです。

そんな中、ニューヨークタイムズは、アメリカが北朝鮮への限定攻撃を受けた場合、韓国への北の反撃が引きおこす被害について記事を掲載。メディアお得意の薪をくべるやり方でしょう。

アメリカの「自制」を求めたいところですが、徐々に状況は「戦略的忍耐」へ回帰しているのではないか、とさえ言われるじり貧であり、「無策」との批判を交わすために次の一手は何か、それがトランプ政権の悩みどころといえます。北朝鮮も、米中関係も、7月は4月に続く節目になります。

悪化する対米認識 [雑感]

トランプ政権の誕生によって、明らかに世界のアメリカをみつめる視線は厳しさを増しています。

アメリカのピューリサーチは、6月下旬に最新の調査を発表しています。

好意的な見方が増えたのはロシアとイスラエルのみで、基本的には調査国でおしなべて減少傾向が見られます。(欧州、韓国、日本に比べると、フィリピン、インド、ベトナムが若干下がり幅が小さいです。)

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なお、調査は2月から5月にかけて行われており、どちらかというと、第一印象から、序盤の政権運営の混乱にかけて、というところです。

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ピューは、この傾向は特に西ヨーロッパ諸国に限定して、ブッシュJr政権と似ていると分析しています。

おそらく、それは表面的なデータの話であって、ブッシュ政権期に問われたのは「テロとの戦い」の合法性やアメリカの軍事介入のあり方でした。今は、アメリカそのものの信頼性、価値観、国際秩序へのコミットメントがより根深く問われていると思います。

そのあたりは、一般的な世論調査に加え、各国の政治エリートやオピニオンリーダーの調査も必要かも知れません。その点については、3月にパイロットを行った、今後3年間展開する私たちの研究プロジェクトで追求していきたいと思います。

この調査でほかに面白いことは、若者がよりアメリカへの好意的な見方を示していると言うこと。この傾向が多くの国に共通していることは興味深いです。

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