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日本台湾交流協会への名称変更 [雑感]

年末に大変嬉しいニュース

「日本の対台湾窓口機関、名称に「台湾」を追加 外交部が歓迎の意表明」

トランプ氏によって1970年代に出来上がった中国台湾との外交関係のあり方に一石が投じられていますが、それとは全く関係なく、

過去5年以上にわたる、日台関係の発展はめざましいものがあり、それは社会経済関係の深耕だけでなく、市民レベルでの意識変化も伴っていると思っています。

持論として論文にも記載しましたが、台湾を台湾として、両岸関係や中国との文脈から切り離して理解する日本人が明らかに増えました。政官だけでなく、一般的にも。

中国への牽制とか、そういう浅はかなことではなく、素直に台湾を台湾とみる、そんな感覚が共有されてきていることを率直に喜んでいます。そして、関係者の努力に敬意を表します。

今年は、学生会議で教えた台湾の学生が外交官試験に受かったことも大きな喜びでした。(学生会議で関わった(元)学生との交流は様々に続いていて、今月には内閣府PKO本部から国連に羽ばたかれる方に大学に講演に来てもらいました。

日台関係にとって2017年がさらによい1年になることを願っています。

トランプ外交と同盟国の憂鬱 [雑感]

12月はトランプに直接、間接にまつわる講演にかなりの時間を取られてしまいました。

ツイッターやFoxニュースをみなければいけない日々が4年間も続くのかと思うと気が滅入りますが、それは同盟国政府も同じこと。

ということで、表題のコラムをシンガポールの聯合早報より出版して頂きました。中国語です。
http://www.zaobao.com.sg/forum/views/opinion/story20161227-706544

日本語原文は以下の通りです。

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トランプ外交と同盟国の憂鬱

 ドナルド・トランプ氏のアメリカ大統領当選は誰にも驚きだった。だが結果から見れば、EU離脱を国民投票で決めた英国、さらに韓国、欧州各国など先進的な経済発展がされていたはずの国で、既存政治の分配枠組みへの不信感が募り、それが政治不信へと至ったのが2016年であった。
 トランプ氏は外交政策で選ばれたとは決して言えない。しかし当選を決めた後、オバマ政権の遺産だったキューバとの関係改善、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)をいともあっさりと否定したかと思えば、蔡英文氏が祝意を伝える電話をこれもあっさりと取った。「すべて前政権以外(Anything but)の政策をとる」という傾向は政権交代につきものだが、トランプ氏は「すべてこれまでの政権と異なる(Anything but all past administrations)」ことを目指しているかのようである。
 国防長官人事などに垣間見られるように、イスラム国への強い対抗策はでてくるだろう。イランも白紙からすべてをやり直すのかも知れない。
 TPPはオバマ政権のアジア再重点化(rebalancing)政策の要だったが、トランプ氏が政治、軍事面におけるアジア政策にも革新をもたらすことが危惧されている。たとえば日本や韓国には米軍駐留経費のさらなる負担だけでなく、防衛予算増額やアジアを越えた地域への積極的関与も求められるのかも知れない。TPPが死文化しただけでなく、アジア再重点化(rebalancing)も終わった政策となるのだろうか。
 あるワシントンからの友人が先週私に語ったことは正論だと思う。「トランプ外交がどのようなものになるのか、それは本人を含め誰にも分からない。しかし、アメリカが関与を弱めるかも知れないという認識を地域に広げたことで、アジア諸国はその可能性を織り込んで動くことになる。その意味で、我々はすでにトランプ効果のなかで考えていかなければならないのだ。」
 アメリカの同盟国に安心できる材料はあるのだろうか。国際感覚豊かな国務長官の任命は、自由貿易のメリットも十分に理解するだろうことを考えると悪い話ではない。国務副長官、国防副長官にも良い人選が進んでいるという噂もある。北朝鮮への戦略的忍耐が放棄されるのは結構なことだと思う。任期四年間のうちに進展する核ミサイル開発に過剰に反応しないで、適切な圧力行使が行われることが前提だが。
 トランプ外交の先が見通せないこと、不確実性は最大の不安とは言えない。どのような政権も多少の差はあれ、政策の方向性は変わるし、それはオバマ外交も例外ではなかった。同盟国は、すべてが「アメリカ第一」の原則の下で二カ国での再交渉になること、さらには他国との取引材料になることを最も恐れている。
 同盟国の希望は、中国の封じ込めでは全くない。中国の政治、軍事的な振る舞いに危険なところはあっても、ともに豊かになる未来を誰しもが望んでいる。同盟国が望んでいるのは、アメリカが政策を立案するに際して、同盟国というプリズムを通して「も」地域を認識し、行動することだ。新しい大統領は、これまでのビジネス経験から、どうも世界を一対一の関係から捉える傾向があるが、すべてはつながっているのだ。アメリカと同盟国は原則あるグローバル化の促進を最大の目標として共有してきた。同盟国は自らとの交渉と、ロシアや中国との交渉をアメリカが別々のトラックでして欲しくないと願っている。
 新しい国際関係のパターンの出現は、すでに日本にとって計算違いを引き起こし始めている。プーチン大統領はあきらかに孤立を招いた西側包囲網がこれで崩れると確信しただろう。中国との関係は、今は状況を不安定にさせる事態が相次いでいる。政権発足後、当初は緊張するだろう。だが、もし米中が一転して深い対話に進むことは十分にあり、アジア中の友人は自らが次の取引材料になってしまうことを恐れている。アメリカの関与を信じられなくなったアメリカの友人は、ユーラシア大陸の東西どちらでも様々な対応策、さらに奇策を打つだろう。
 だからこそ、アメリカ以外の国の連帯こそこれからの4年間の鍵になると筆者は考えている。アメリカ、西欧、日本のG7諸国(先進国首脳会議参加国)はこれまで、国際秩序において価値観の共有を訴え、東南アジア、オーストラリア、インドの友人ともその目標を共有してきた。しかし当面、国内事情優先、二カ国外交を好むアメリカと価値観の共有という崇高な目標を第一に訴えることは難しそうである。まず、世界に係わり続ける国際主義の必要性、多数の国と協力し合う多国間主義の素晴らしさをアメリカ以外の国が連帯してトランプ氏に丹念に説いていくしかないだろう。その意味で、我々は後退した世界のなかに生きることを強要されているのだが、やがて再び「グローバル第一」のスローガンをアメリカとともに掲げることを夢見たいものである。

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オーストラリアン紙(豪州最有力紙)に2週前にかなり引用されていたことを今更気づきました。

http://www.theaustralian.com.au/news/world/trump-and-china-force-japan-to-embrace-new-partners/news-story/8037ced9f7771e5a5b532ec2e46f8553

欧州知識人とトランプ外交を語り合う [雑感]

先週の日欧有識者対話でアメリカ新政権のアジア太平洋政策について、現時点での分析を提供する機会を頂きました。

乏しい資料、トランプ氏自身の「不確実に振る舞うことが敵への抑止になる」という考えもわかったうえで、学術的な推論を提供するのも研究者の役割と理解して、お話ししました。報告は英語ですが、以下はその骨子です。

その後、人事をめぐり迷走が続いていますが、私がお話しした「三つの問い」は当面、有効だと思います。(会議時点より若干修正しています。)

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トランプ外交を予測することほど難しいものはない。トランプ氏自身による主要演説はニクソン・センター(現Center for National Interests)で行われた16年5月のものにすぎない。先週フォーリン・ポリシー誌にグレイ・ナバッロ共著論文がでたが、彼らや、マイケル・ピルズベリー氏の影響力も正直誰も分からないのではないか。

ここでは三つの問いかけをしながら、トランプ外交の性格を考えてみたい。

1.「アメリカ・ファースト」はグローバリズムを完全に否定する?

答えはYesアンドNoだろう。
一方で、アメリカ・ファーストは貿易では保護主義につながる懸念がつよい。それはトランプ氏の政策では国内経済、雇用問題が重要視されていることと直結している。それが「ラスト(さび付いた)ベルト」の票をつかむことにもなった。結果として、外交は重商主義的な商人外交の装いをもつだろう。自由貿易は危機に瀕する。

他方で、トランプ氏のニクソン・センター演説はアメリカが人道主義を維持すると述べており、リベラルな価値を全否定はしていない。問題としているのはオバマ政権期における介入主義であり、派遣の原則を打ち立てるべきと主張している。ワインバーガー/パウエル=ドクトリンではないが、介入主義の見直しを形にしていくことは十分にあるだろう。また、民主化、人権のための介入を前面に押し出すような外交も難しくなる。

2.同盟を見限り、前方展開を見直し、孤立主義に完全に動く? 

答えはNoだろう。同盟そのものを否定したことはない。どこまで参考になるかは未知数だが、グレイ・ナバッロ論文はアジアの同盟をアメリカの戦略的基礎とみている。中国の台頭に伴う環境変化のなかで、むしろアメリカに戦略的機会があり、リベラルな既存の秩序を守るとまで言っている。ただ、ピボットという用語はTPPとともに死んだ。

孤立主義にならずとも、多国間主義(マルチラテラリズム)は道具的な意味(いわゆるA la carte多国間主義)としても意味を失いはじめるのかもしれない。単独行動主義(ユニラテラリズム)が目立つだけでなく、あらゆる分野で2国間(バイ)での交渉を好むように動くのではないか。オバマ政権がアジアのマルチに全面的に参加した、この20年でも珍しい外交を展開してきたことと対照的な結果になるだろう。

3.トランプ外交はレーガン外交を目指す? 

これまで力重視(position of strength)の外交は示唆されており、軍の規模拡大を約束している。たとえば戦闘機は3割増強など。技術革新にも言及しており、サードオフセットに通じる言及もみられる。その意味で、グレイ・ナバッロ論文が言うように、レーガン政権の安全保障政策に近い形を目指すのかも知れない。

しかし二つのポイントがある。第1に、軍事予算の増額が思い通りに進まなかったときに、果たしてどうなるのか。軍事予算に限らないが、トランプ氏の政策綱領は予算がかかるものが多く、それは議会共和党で強まっている予算縮減の政治と衝突することになる。

第2に、トランプ外交はニクソン的な「リアリズム」を発揮し、ライバルとの交渉を好むのだろう。ロシア、中国が典型的な交渉相手として示唆されるところである。

オバマ氏も外交を好んだが、イランとの交渉をトランプ外交は否定するだろう。同じ外交交渉でも何が異なるのか。

オバマ大統領は、あくまでも紛争の平和的解決、核のない世界などリベラルな秩序の実現という目標にかなう限りにおいて交渉をおこなっていた。米中首脳会談など中国との対話強化もみられたが、それも国際ルールに中国を誘い込むための交渉だった。

他方で、トランプ氏の交渉はどうも様子が違う。特定の価値観や秩序を念頭に置かず、アメリカのその場その場での国益を得るためには交渉で取引をすればよい、という考えに見える。

これは非常に危険な結果をもたらしかねない。戦後国際秩序の根幹を揺さぶり、大国間での取引が中心で、ルールによる安定が損なわれた世界が登場することにつながりかねないからだ。

アメリカの覇権的な秩序に否定的な論者はリアリストを自任し、大国協調こそ中国やインドの台頭にともなった新しい世界の力構造で重要な秩序観だと主張してきた。しかし彼らは漸進的変化を考えていたのであり、アメリカが政策を急展開させ、秩序を突然揺さぶることのリスクをどこまで理解していたのだろうか。

トランプ大統領のトップ・アジェンダは何か?

さて、過去からの教訓を一つ紹介したい。カーター政権における在韓米軍撤退を覚えているだろうか。大統領の個人的イニシアティブではじまった、韓国からの撤退は官僚機構の強力な骨抜き工作により頓挫した。しかし、あまり知られていないが、同時期、米中正常化交渉にカーターは積極的に介入している。結果として米中交渉は成功したとは言えない内容となった。(拙著『共存への模索』を参照)重要な含意は、特定のアジェンダを実現させないように官僚機構が動いたとき、別のアジェンダで大統領の考えが強く反映されることもあり得る、ということだ。大統領の介入を全てにおいてはねつけられるほど、官僚機構は強靱ではない。

大統領と官僚機構とのバーゲニングがどのように行われてくるのか、我々は注視しなければならない。TPPはいの一番に否定された。その次は何が来るのだろうか。

最後に、日本についてだが、日本への要求は基地負担増にとどまらないだろう。自衛隊の役割任務の見直しが求められたり、防衛予算増額も視野に入ってくるだろう。日本としては、なによりもまず、核武装も日本が海外派兵することも困難であることを訴えつつ、現状の枠内で漸進的に、対中戦略での役割を訴えていくほかない。


箱根でのゼミ合宿など [雑感]

紅葉[もみじ]箱根でゼミ合宿。

雨の強羅で、これまで一ヶ月格闘してきた『決定の本質 第2版』をさらに8時間。そして快晴、小春日和の日曜は、ケーブルカー、ロープウェイ、そして海賊船に。つぎの課題『失敗の本質』に向けて英気を養ってもらいました。2年ゼミも別の日に初コンパ。『神大一勉強していると言われるゼミになろう』と気勢を上げていました。厳しい指導でもついてくる良い学生に囲まれて楽しくやっています。

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今週は国際会議3つ、学務の会議も山のよう。そして金曜午後はスタンフォードのカール・アイケンベリー教授(陸軍中将、アフガン大使)のお供目黒基地と市ヶ谷で様々な面会。合計☆16個(たとえば海将・空将で星3つ)という、なかなかない1日でした。最後はニュー山王の骨付きリブアイ・ステーキで締めました。

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そういえば火曜のレセプションでお見かけした、ケネディ大使の革ジャン姿がかっこよかったのでシェアします。

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安倍トランプ会談は、『リアリズム』としては大金星。ただアメリカの人々が真にトランプを恐れているのはこの何十年ものアメリカの進歩主義の成果を彼をシンボルとした政治が否定していること。親日派の多く、良識ある人々の気持ちを今回の面会が傷つけていないことを祈ります。
(アメリカでは白人至上主義が言うまでもなく盛り上がってしまっています。)

トランプ外交へのコメントでは、畏敬する先輩、森さんの日経・経済教室が秀逸です。さすがとしか言いようがありません。政権内対立の予測含め、学術的推論も秀逸。マルチとバイの使い分け、ロシア巡る軍との対立など。台湾武器売却のポイントも個人的には注目してます。

おまけ:箱根・大涌谷では今も多くのガスがでていますが、ロープウェイから綺麗にみることができます。人体にはほぼ無害(のはず)です。
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トランプ外交へのコメント(7ヶ月前) [雑感]

そういえば、
4月に「トランプ外交」について、現時点でコメントして欲しいとフォーリン・ポリシー誌から依頼され、答えたものがありました。私のコメントを言い換えたものがタイトルになっているので、少しは役に立ったようです。

当時のブログ
http://ryo78.blog.so-net.ne.jp/2016-04-15

実際に掲載されたもの
http://foreignpolicy.com/2016/04/12/a-vote-for-trump-is-a-vote-for-china/

Removing some or all U.S. troops from Japan and South Korea and weakening the security alliance would reduce the stature of the United States in the region and “satisfy Chinese aims,” said Ryo Sahashi, an associate professor of international relations at Kanagawa University in Yokohama, Japan. Among the many consequences, it would strongly reduce Washington’s ability to talk Beijing down from its aggressive island-building in contested regions of the nearby South China Sea.


(下線部邦訳)日本と韓国から一部または全ての米軍を撤退させ、同盟を弱めることは、アメリカの存在感を弱めるだけなく、『中国の国家目標を満足させる』結果になりかねない

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キッシンジャー氏のインタビュー [雑感]

日曜版の日経には、ヘンリー・キッシンジャー氏の1面インタビューが掲載されています。

十年前はじめてお会いし、1週間つきっきりでアテンドしたとき、様々なことを勉強させて頂いたことを思い出します。

キッシンジャー氏は冒頭、アメリカのおかれた立場を考えれば、国際主義からの離脱はあり得ないことを強調しています。

米国に『新・孤立主義』の選択肢はあり得ない。それは外交政策を知らない人たちの間で流行するロマンチックなファンタジーにすぎない(略)(リベラルな国際主義の)伝統を持ち、確立してきた国々は今後もそれを追い求め続けるべきだ。これが彼らにもしっくりと来るからだ。


さすがに面白いなぁと感じさせるのは、トランプ氏らもリベラル国際主義が自分たちの価値観に共鳴するに違いない、という後段の指摘です。

たしかにトランプ氏も、彼に投票したアメリカの有権者も、アメリカの価値観を信奉しているわけですから。

それを力で押しつけるか(ネオコンやリベラル強硬派)といえば、そうではない、とトランプ氏は思うでしょうし、キッシンジャー氏も軍事介入を戦略的必然にしたがって判断すべき、と最近のアメリカ外交をめぐる論争を皮肉っています。介入主義を修正した上でアメリカの価値観と国際秩序を摺り合わせられるのか、すなわちアメリカの力抜きで世界は安定、さらに正義を実現できるのか、それは実はオバマ政権(通称、オバマドクトリン)をめぐっても展開されてきた問題です。

インタビュー全文を読むことを強くオススメして、ここでは興味深い点をあと2点だけ紹介します。

多くの同盟関係はソ連が大きな脅威だった時代に生まれたものだ。今、新しい時代において脅威の内容は違っている。それだけ取っても、すべての同盟は再考されなければならない。新しい現実に立ち向かうため、前向きな意味で再考すべきだ、ということだ


同盟のポートフォリオをどう組み替えるべきか。これは簡単な問題ではないですが、トランプ・ドクトリンを予想し、それに備える時代の到来だと思います。

またアメリカの同盟国、パートナー国がどのように対応していこうとするのか、私たちは横にめくばせをするように研究・調査を進めるべきでしょう。

米中両国には文化的に大きな違いがあるだけに、それをいかにして成し遂げるのかは最も難しい課題といえる。そこには競争の要素もあるが、共存という重要な要素もある。その双方を心に強く留めておかなければならない


ありがとうございます。私の監訳書のタイトルは『支配への競争』、著書は『共存の模索』といいます

キッシンジャー氏には改めて献本差し上げたいと思います[わーい(嬉しい顔)]

さておき、米中接近をニクソン大統領とともに切り開いたキッシンジャー氏は、最近米中関係を異なる二つの文明と捉え、折り合いをつけるのが難しいかも知れないという文化的視点を強調されています。

氏の『国際秩序』、『中国』という二つの近著では米中協調の方法論も書かれていますが、その根底にある問題意識が面白いと再び感じたところです。

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「トランプ外交」についての資料紹介 [雑感]

なぜ予測がことごとく誤っていたのかなぜスイングステーツをことごとくヒラリーが落としたのか(なぜヒラリーがあそこまで嫌われて500万票以上落としたのか)、というのが政治学者にとって最初の問いであるべきだと思います。アメリカ政治について、民主党、共和党の変容でそれぞれ単著を、さらにビル・クリントンについて新書を出版された津田塾の西川先生の以下の論考は興味深いです。

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さて、外交がどうなるかは全く未知数です。このような報道を信じたい気持ちはなくもない、しかし匿名かつ自称の「トランプ外交顧問」に根拠は全くありません。

選挙当日にJapan Timesからインタビューを受け、三十分話したものが記事になりました。

http://www.japantimes.co.jp/news/2016/11/09/national/politics-diplomacy/trump-policy-asia-remain-unknown-japan/

基地負担の増加だけが対日期待になるのではなく、負担共有から負担シフトの時代が本当に来るのであれば、防衛予算の若干の増額や国際任務への参加にとどまらず、日本の本質的な安保政策見直しが必要になるのかも知れないですね。

その意味では、外交第23号に掲載された、クリストファー・レイン論文(と私の解題)を今読み直すのも思考実験としては興味深いと思います。(Googleですべて読めてしまいます、よいのかどうかはさておき。)後段で記すように、孤立主義への回帰がすぐさま起こるとは思っていませんが、ベクトルは生まれてくるかもしれませんので。

実際にトランプから発信されている演説としては、ニクソンセンター(現在はCenter for National Interest)で行われたものがあります。

近い立場といわれるカリフォルニア大のナバッロ教授とグレイ氏のアジア太平洋政策の論考はこれです。

彼らはレーガンのように力の外交を取り戻す、とか言っていますが、ニクソンセンター演説のように「現実主義」かもしれない。いずれにせよ、ネオコン路線のように民主化推進という路線は予測としてあり得ない気がします。手法として力(パワー)がひとつの鍵になるのは間違いないところです。

しかし、レーガンもニクソンも、アメリカの国際主義は疑わなかった。そこには大きな違いが生まれてくると思います。ファイナンシャル・タイムズのギデオン・ラックマンは以下のように指摘します。

 ケネディのビジョンの寛大さと広大さ、力強さはトランプ氏の宣言――我々の計画は米国が最優先となり、グローバリズムではなくアメリカニズムが信条となる――の狭量な国家主義との悲しいコントラストを描く。この2つのビジョンの違いは計り知れないほど大きく、不吉だ。・・・ケネディ世代は大恐慌と第2次世界大戦から厳しい教訓を学んだ。あの世代は「アメリカ・ファースト(米国第一)」――米国を広い世界の問題から隔絶しようとする政策――が最終的に、経済と政治の大惨事につながったことを知っている。だから1945年以降、共和党、民主党双方の新世代の指導者たちは世界のために経済と安全保障の構造を築いた。


トマス・ライトも、トランプ氏の外交ビジョンの本質を「同盟関係への反対、自由貿易への反対、ロシアなど権威主義体制への支持」と指摘していました。

リベラルな価値観を実現し、そして世界に積極的にかかわろうとする国際主義の衰退。これは1945年以後の世界の根幹を揺るがすことになります。

すぐさま孤立主義に戻るとはいえないにせよ、アメリカの国益を狭く捉え直した上での単独行動主義(ユニラテラリズム)の復活、マルチよりバイでの交渉を好む姿勢などが予測できるのではないでしょうか。

金正恩を交渉できる相手ではないと考えていることが救いでしょうか。北の長距離ミサイル実用化はトランプの政権一期目の間に実現されると考えられていますから、この点では北東アジア諸国と足並みを揃えそうです。(賢明にも鍵とみている中国と、経済圧力が聞かない場合にどのような交渉をして、彼が何を交渉材料にしてしまうのか、という点に懸念は残りますが。AIIBへのアメリカ加盟なんて「簡単」な話でしょう。)

いずれにせよ、トランプ氏が情報機関も、核兵器も抑えるというのは何とも心配であるのは言うまでもありません。議会共和党との関係は未知数ですが、共和党は上下院両院を抑え、極めて強い基盤を持ち得ます。

そして、ジョージワシントン大学のサンダース教授が指摘するように、結局は大統領個人の信念が外交政策に強く反映されることは間違いのですから。

この点に関連して思い出すのは、カーター大統領です。よく知られている在韓米軍撤退構想は大統領個人のイニシアティブだったものの、ありとあらゆる政権高官が食い止めに走り、結局骨抜きにされます。他方、同時期に進んでいた対中国交正常化、そして台湾問題の処理は、すでに台湾に関して国際的関心が下がっていたこともあって、同じ同盟国、北東アジア安保の重要問題であったにもかかわらず、カーターの政策決定への介入がとても強かったのです。その結果何が起きたか。詳しくは拙著『共存の模索』で説明していますが、拙速な交渉のなかで条件を双方納得して詰め切れず、台湾への武器売却にいたっては誤解が国交正常化発表の前日まで残っていました。ウッドコック北京代表はどうせ台湾は自然に中国の手に戻ると(キッシンジャーばりの)発言するわ、鄧小平は納得せずに、あとで蒸し返すと捨て台詞を残すわ、ヒドいものでした。両国のコミュニケも中国語訳に意図的な誤訳を許すなど、アメリカはとにかく失敗しています。しかし、重要なのはこれは大統領の役割が大きい、ブレジンスキー補佐官もその範囲内で目立とうとしていたに過ぎないということです。

さあ、トランプ外交はどうなるのか。「ギングリッチ国務長官」?「アヨッテ(初の女性)国防長官」?「フリン国家安全保障担当大統領補佐官」?よくわかりませんが、大統領を側近たちが止める場合もあれば、それとひき替えに好きにさせるところもある、という教訓はカーター政権から学ぶことが出来そうです。

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アメリカが来年からも変わらず、懐の深いアメリカであることを祈りたいと思います。


学会報告 [雑感]

今週末に行われる、日本国際政治学会の報告ペーパー個人HPにアップしました。(Dropbox公開フォルダー経由でのダウンロードが始まります。)

下記からもダウンロードできますので、学界およびご関心の方はダウンロードをお願いします。大会HPへは報告後にアップロードされる見込み(19日前後)ですので、ここに公開するとともに、当日は70部ほどペーパーを配布します。

学会報告ペーパー「アメリカは中国の権力をどのように捉えているのか」日本国際政治学会2016年度部会9(兼・公開講座)。

今学期のゼミ [雑感]

後期の始まり、ゼミ教材の選定です。

2年生と3年生。色々考えたのですが、

2年生(今学期から開始)は少し教科書を扱ったあとに、船橋洋一先生の『21世紀地政学入門』にしました。これは今の世界情勢をみるために必要な視角を提供してくれます。さすがだと思います。そのあとに『貧乏人の経済学』の一部や地域紛争の本、日本の安全保障の論文などを少しずつ扱おうかなと思います。

毎週、新聞記事報告というエクササイズもします。これについては、神奈川大のJINDAI STYLEという雑誌のゼミ紹介で書いてもらったことがあるので、もしご関心のある方は今年春の同紙を大学HPから呼んで頂ければ。ビブリオバトルと並び、ゼミ名物としています。

3年生のゼミは、夏休みの宿題として「シンゴジラ」鑑賞。そのあと、瀧野記者による『沈黙の自衛隊』を読み、白樫三四郎「集団の愚かな意志決定」(グループシンク・集団的浅慮に関する論文)を読んだ後に、古典にチャレンジということで、キューバ危機に関する名作『決定の本質』の新訳をやろうと思います。

防衛政策とその政策決定(とくに危機管理)について勉強する、というのが底流に流れるテーマです。

3年生は前期に多様なテーマの新書を読み、アクティブラーニング方式(教授は後ろから見守る)ひたすら議論するということをしました。基礎体力もできてきたので、専門書に挑戦です。

よいゼミになりますように。

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ノースカロライナ大学グリーンズボロ校での講演写真を学生が送ってくれました。o(^-^)
聴衆との距離がある時は歩いて近づく、というクセがよく分かります笑

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恩師たちの出版 [雑感]

お世話になった恩師、恩人を思い出す機会が重なりました。

ICU時代の恩師、栗山先生。昨年4月の逝去から1年少し経ち、病床でも執筆を続けられた原稿を収めた『現代日本外交 軌跡と課題』が先月岩波から刊行。当時教科書だった『日米同盟 漂流からの脱却』もオンデマンドで再刊されました。先週末に外務省OB、現役で縁のある方々、教鞭を執ったICUと早稲田の関係者があつまり、マイクを回しながらの思い出話。ご家族の多くも学んだICUには栗山先生のメモリアルとなる平和研究の賞も設置されました。写真はご家族から分けて頂いた先生のネクタイとご著書、論文です。

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退職後に私の客員先に移られ、様々にご一緒した若宮さんは本年4月に北京で急死されました。昨晩は帝国ホテルにて偲ぶ会。そして遺稿『ドキュメント 北方領土問題の内幕 クレムリン・東京・ワシントン』が配られました。北京の、釣魚台国賓館の大きな演壇に立ち、「日中韓に「同舟新聞」の夢」と題した講演をする直前でした。

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自分は本当に素晴らしい人に教わってきたのだなぁ、と思う一方で、大学教師として、果たして学生に、社会に十分に奉仕できているのかと反省の日々です。

また死の直前まで健筆を振るった、その姿勢にも多くを感じ取りました。

ということで、神大と一橋の学生に「ガツンとくる」ような試験問題をプレゼントして今学期を締めくくりました。

最近は大学での仕事も増える一方ですが、2ヶ月間、ゆっくりと物事を考えていこうと思います。

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